イブラシル暦 684年 6月

旅日記　その１２

無事、ガーディアンの肉（？）も捌け、

ミルシアで買い物を終えた僕たちは、

マルティア大森林北部へと歩を進めた。


偶然にも森に入った直後、リノお姉さんたちのPTと遭遇した。

あれ？お姉さん、前よりもなんだかやつれてるみたい･･･


「あ、アルくん。･･･うぷっ。この前はお料理ありがとう･･･ぐふっ

何の食材か分から･･･ないけど･･･美味しかった･･･よ。

ダイエット効果もあるのね、おかげで何だかスマートになったみたい（げっそり」

････スマートというよりも、

とってもやつれてる感じだ･･よ？

うわーーごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい！！！！


僕はリノお姉さんを治療してあげようと、

あわてて、ルーンストーンに手を伸ばした。

た、確か。ミルシアで聞いた話によると

ラクシャサという魔物が、相手にダメージを負わせ、

負わせたダメージの一部を吸収して自己治療に使うらしい。

上手く従わせることができれば、

吸収したエネルギーをリノお姉さんの治療に使えるかもしれない！！

確か石は･･･木の属性のものを使うんだったかな･･？

僕はTeiwazの石を握り締めた。

後ひとつ組み合わせないといけないんだけど････

ふと、見慣れた赤い石。Thurisazを手に取る。

これでいいや。


ターゲットは･････ロッソお兄さんでいいか！

お願い、リノお姉さんを治して！！

僕は石に祈りをささげた。

現れたのは･･･毛のない、馬？

馬は口を開くと、怪しげな緑色の煙を吐き出した。


･･････ものすごーく嫌な予感が。。

僕はあわててルーンについて書き記してある本をめくる。

まだまだ研究中ということもあり、欠けてる部分の多い本だが、

２つの石を組み合わせる際の注意書きはきちんと記されてあった。

そう、石には系統があったのだ。

TeiwazとThurisazの組み合わせの場合はTeiwaz＜Thurisazとなるため、

Thurisazに封じられた力が優先される。

Thurisazに別属性の石を組み合わせた際に呼び出せる魔人は

アパオシャ－－

病原菌を吐き出し、対象を病気にしてしまうらしい。


･････！！？

そ、そんなの吐き出されたら大変だよ！！！

唯でさえ、リノお姉さん弱ってるのに！！！！





お願い、自分の世界に帰って！！！！

願いもむなしく、アパオシャの息はリノお姉さんへと吹きかけられた。


あー･･お姉さん。顔色が･･･

悪いとかそういうレベルじゃなくなってる･･よ？

でも、お姉さんは僕が召喚する魔物を間違えたことに気づいてないらしく、


「ありがとう、少し元気が出てきたみたい」


明らかに具合悪そうなのに、お礼を言ってくれた。

ごめんね、ごめんね、ごめんね！！

僕はとりあえず、先ほど別れたお姉さんの無事を祈った。

ただ、新聞記事を読む限りでは

祈りは天にとどかなかったようだ。